2017年2月22日水曜日

多和田葉子作「地球にちりばめられて」(第三回)(「群像」2017年2月号掲載)

 クヌートとHirukoはルクセンブルグの空港でアカッシュというサリーを着たトランスジェンダーのインド人に出会う。アカッシュは、クヌートを「美味しそうな青年」と感じる、と同時にどこの出身か分からないHirukoにも興味を持つ。彼(?)は、二人の関係や話す言葉、仕事にも興味を持つ。そして、二人の目的地を案内しながら、お互いに言葉を交わす。
 話す言葉が色々なだけではなく、3番目のジェンダーが現れて、今後の進展が楽しみになってきた多和田の小説には知性が感じられる。会話や地の文(結局全てと言う事?)に、歴史や文化が散りばめられ、それに乗るようにリズミカルに読書が進む。