2022年1月30日日曜日
2022年1月11日火曜日
外岡秀俊 著「北帰行」「傍観者からの手紙」「アジアへ」
「北帰行」(1976年1月刊)
『一握の砂』をかかえて、青春は北へ旅立った。苦汁にみちた炭鉱での少年期、そして上京後の挫折を記憶に甦らせながら…。石川啄木の軌跡に現代の青春を重ね、透明な詩情と緊密な思索が交響する青春文学の不滅の名作。
外岡秀俊さん死去
先週の土曜日(2022年1月8日)の朝日新聞夕刊に、作家でジャーナリストの外岡(そとおか)秀俊さんの訃報が載っていてビックリした。私よりは若いはずなのに亡くなったのか、と思った。昨年の12月23日に心不全でお亡くなりになったという。誠に残念である。
「北帰行」で文藝賞を受賞したのは、1976年である。記憶が定かではないが、最初に読んだのは、掲載された雑誌(文藝)ではないかと思う。現役の東大生なのにびっくりすると共に、しっかりと書き込まれたストーリーと文章に次回作を期待した。しかし、次作はなかなか発表されず、数年後に、朝日新聞に入社したことを知り、落胆した。文藝賞と言っても、時代が違うせいもあるが、高橋和巳とは違って、大仰な文体ではなく、当時としても珍しく、地に足をつけた落ち着いた文体であった。
それから30年以上過ぎた2010年、「傍観者からの手紙」を読んだ。現場取材を基に時局分析を綴った素晴らしいレポートであった。そして、その続編である「アジアへ」も読んで、同じ感想を持った。
退職後、久しぶりに書いた小説「カノン」を掲載誌(文藝2014年春号)で読んだが、「北帰行」には遠く及ばない出来で、がっかりした。次の作品「消えたダークマン」(文藝2017夏号掲載)(感想は当ブログ掲載:http://tonnytakitani.blogspot.com/2017/06/2017.html)も読んだが、それが最後の読了作品である。68歳は余りに若く、非常に残念である。彼は、誰から見ても、一級の作家でジャーナリストであった。合掌。
翌日、朝日新聞の ”天声人語” に、下記文章が載り、ビックリした。素晴らしい作家・ジャーナリストとは言え、”天声人語” に書かれるような方とは思わなかったからだ。元身内、ということもあるのだろうが、賛辞が寄せられている。感想は述べずに、そのまま掲載する。