2017年5月17日水曜日

多和田葉子作「地球にちりばめられて」(第六回)(「群像」2017年5月号掲載)

<第六回あらすじ>
 Hirukoとノラはオスロのレストランでテンゾに難なく会える。
 Hirukoはノラの勧めでテンゾと話すが、すぐに「同じ国」から来た人間ではないと分かる。しかし、彼、ナヌークと話してみて自分がしゃべっている言語に実感が持てる。
 クヌートは母の病気で来られず、替わりにアカッシュが来て、Hirukoはがっかりする。
 翌日、ナヌークが出るコンテストを見るために、「シニセ・フジ」に行く。だがイベントは中止になっていた。理由は、「キハダマグロは太平洋クロマグロに次いで絶滅してしまう。だからコンテストに使うべきではない」という自然保護団体からの電話に、主催者が反発し、ノルウェーの伝統として鯨料理を披露しようとしたのだが、朝、海岸に上がった鯨が主催者らにより殺されたのではないかという警察の疑いにおそれをなしたためだ。ナヌークにも疑いが掛けられ事情聴取のために警察に出頭するが、無罪となる。

 著者が連載ものをどのように書いているかは分からないが、締切に間に合うように枚数を限って書いていると、このように盛り上がりに欠ける章が出てくる。ストーリーも、やや中だるみで、無理矢理に作っている感じがある。
 新たな登場人物と言えるかどうか分からないが、それを予想させる人は、安宿(ホステル)の管理人でスケッチブックを眺めていた、南フランスから来たクロード、そしてナヌークが紹介したアルルに住む、フクイという町の出身者、Susanoo。未だ、話は序盤だ。

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