2014年10月25日土曜日

服部茂幸著「アベノミクスの終焉」


 表紙の裏扉には、「異次元緩和の始まりから一年以上がたった今、いくつもの「つまずき」を抱えたアベノミクスの実態が明らかになっている。政治のレトリックに惑わされることなく、客観的なデータにもとづき、警鐘を鳴らす。」、とある。
 例えば、アベノミクスのレトリックに沿わないデータとは、以下の様なものがあげられる。
株価上昇と円安は、異次元緩和開始前に生じている
・円安にもかかわらず輸入の伸びは著しい
・2014年4月の労働者の所定外給与や特別に支払われた給与が急増し、現金給与総額は前年同月比で0.9%増加しているが、物価の上昇もあり、実質賃金は1%程度低下している
・2009年から2012年までの日本の平均消費者物価上昇率はマイナスであったが、一人あたりの経済成長率はドイツなどに次いでが高かった
・1992年から2007年の主要先進国の一人あたり経済成長率と政府支出のGDP比を見ると、政府支出の小さな国が経済成長率が高いとは限らない
・小泉構造改革が手本にしたニュージーランドは、過激な改革前にはオーストラリアと肩を並べて経済的な成長を遂げていたが、2000年には一人あたりの所得はオーストラリアの三分の二となってしまった

 現在、アベノミクスに異を唱える我々が共感するような論が次々と展開されるが、特に目新しいデータや論理は展開されておらず、「もっともだ!」、と再確認するに過ぎない。ただ、それでも良いと言う人やアベノミクスを信じている人には一読をお勧めする。

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