
偶々であったが、スポーツジムの帰りに寄る本屋の棚に「イヴォンヌの香り」があったので、手にとってパラパラめくってみた。ルコントの映画を憶えていたわけではないのだが、何故かルコントの映画の内容とは違えるように思えた。だから、早速この作品を図書館で借りて読んだ。
ふらりとジュネーヴに近い湖畔の避暑地に現れた十八歳の青年が、現地で女優だと称する女性を恋する不思議な物語である(筋書きについては、訳者のあとがきに要約されているので参照されたし)。
青年はアルジェリア戦争の兵役逃れのためにスイスとの国境にやってきたのか、本名は何というのか、どんな素性なのか、父親と青年の過去の暮らしは本当の話なのか、イヴォンヌの友人の医師マントの本当の仕事は何なのか、やはりミステリアスな作品ではある。あらすじはともかく、ヴィクトール・シュマラ伯爵と名乗る青年になったつもりで、この小説の中でイヴォンヌとともに過ごしてみたいな、と思わせられる楽しい作品である。是非、一読される事をお勧めする。
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