そんなこともあるせいか、巷ではちょっとした「小さな漱石ブーム」になっていて、漱石に関する本の出版が今年は多いように見受けられる。

読むとこれが大変面白い。私は直ぐに水村美苗のファンになってしまった。その水村美苗のインタビューが、今週5回連載で朝日新聞の夕刊に載っている。
初回(2014年8月11日掲載)には、書いたときの心境が載っている。
「一番楽しみながら書けた小説」、「日本語で書く喜び」、「言葉を拾うために、漱石を毎日読む喜び」、「漱石は物語を離れた細部がとてもいいが、自分はまず物語を強く出さねばと」、「『明暗』は、ちょうど勢いづいたところで途切れている。続きが読めないのが腹立たしく、それが書き継ぐことを可能にした」等々。
水村美苗は12歳から20年間アメリカに住んでいる(現在は日本在住)。その間にプリンストン大学でフランス文学を勉強すると共に、フランスにも留学。アメリカに戻ってからプリンストン大学の講師として近代日本文学を教えていた、という異色の経歴の持ち主であるが、若いときに日本の近代文学を読み、親しんだ。そして、その綺麗な日本語が、日常(アメリカでは)、話せないのを腹立たしく思っていた人間だから、「續明暗」が書けたのだと思う。是非、一読される事をお勧めする作品である。
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