2017年7月17日月曜日

延江 浩 著「愛国とノーサイド 松任谷家と頭山家」


 新聞の紹介記事(書評)だったか、宣伝を見て、面白そうだったので図書館で借りて読んだ。
 AMAZONの内容紹介は、以下の通りである。
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戦前最強の思想的家柄・頭山家と戦後最強エンタテイメントの家柄・松任谷家という「ネオ名家」を軸に織りなす決定版戦後史。
「昭和」の主音(キーノート)とは何だったのか。
ユーミンも知らなかった、両家の歴史が明らかになる。
昭和という時代、面白い出来事、場所、人の近くには決まって「松任谷家」の人々がいた。そして、昭和をつらぬく精神性の基盤には決まって「頭山家」の信念があった。
「松任谷家」の「発明」精神と、「頭山家」の「尊皇」精神ーー。
「昭和」を、この上なく面白くスリリングな時代にした両家のハイブリッドの軌跡を描き出す。
金を無心し、そのためだけに生きる輩が大半の中、その精神の気高さが光る、松任谷家と頭山家。エスプリで時代を切り拓き、大きな足跡を残した彼らは、群れることをせず、あくまでもインディペンデントでアマチュアだった。
優雅とは俗から離れてゆとりがあること。
頭山家と松任谷家は、恍惚と絶望が絶えず交差する現代史の中でさまざまな試練を与えられながらも、確かな目で文化を産み、選び、育ててきた。真に日本人らしくある、といことはどういうことなのか? 「優雅なアマチュア」でい続けることが、これからの日本人にとっての生きる指針になるだろう。
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 松任谷正隆の伯父・健太郎の妻、尋子が頭山満の孫になる。
 千駄ヶ谷の松任谷ビルの地下には、エキゾチカ(易俗化)という尋子夫妻が経営する会員制のクラブがあった。また、川添梶子夫妻が経営する飯倉片町にあったレストラン・キャンティ。そこには、多くの文化人や芸能人、政治家などが現れた。
 本書は、松任谷正隆につながる音楽関係者、例えば、「はっぴえんど」の面々、加藤和彦、「キャラメル・ママ」の面々などや、正隆のいとこになる画家でタレントの松任谷國子につながる人々、また頭山満を訪ねてきた人々の事が、成書に書かれている事や主に國子の姪にあたる玉子から聞いた事などから、書き綴られている。
 内容は、上記の紹介記事に書かれているほど深みのあるものではなく、大変がっかりした。所詮、日々、生きるのにあくせくしてきた、私のような庶民には関係のない、ゆとりのある人たちの世界が描かれているだけだ。
 しかし、暇つぶしに読む、軽い作品と考えれば良く、スムーズにかつ面白くは読めた。
 ただ、頭山満をフィクサーとして手放しで称賛したり、「フォークル」の「イムジン河」発売中止の理由を朝鮮半島分断を歌った内容だから、と間違った事が書かれていたり、と問題点もある

 著者のノンフィクション作品に関する姿勢にも疑問が残る。

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