群像12月号(2016年)から、多和田の小説の連載が始まった。同誌のHPには、次のように書かれている。
〔突然テレビから聞こえてきた「不思議なほど理解できる」言葉。それは彼女が「作り出した」言語だった――。その正体は奇跡か、未来か? 若手言語学者と消滅した島国の生き残りによる、不思議な冒険が始まった! 新連載、多和田葉子「地球にちりばめられて」。著者が果てしない想像力で描く“新しい神話”です。〕
近未来の話らしい。場所はデンマーク。クヌートという言語学科の院生が、”自分が生まれ育った国が存在しない人たちばかりを集めて話しを聞く”、という主旨の番組をテレビで見たところから話は始まる。その中で、手作りの言語で話す、中国大陸とポリネシアの間に浮かぶ列島で生まれ育った女性Hirukoに興味を持つ。女性は、「一年の予定でヨーロッパに留学し、あと二ヵ月で帰国という時に、自分の国が消えてしまって、家に帰れなくなってしまった」、と言う。クヌートは彼女に会いたくて、すぐにテレビ局に電話すると、ロビーで会える事になる。そして、寿司レストランで食事しながら言葉の話をし始める。
Hirukoの、母国は明らかに日本である。なぜなら彼女の話す言葉(単語)ー寿司、北越、新潟県、かんじき、ゆきうさぎ、歌舞伎、抹茶などーが日本語で、育った環境もそうらしい。
久しぶりに多和田得意の言語の話で、今後のストーリーに期待が持てる。
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