2017年1月10日火曜日

多和田葉子の連作小説:ベルリンを舞台に(「新潮」連載)#3

 多和田葉子の連作も2016年の10月号を持って完結した。
連作10:マヤコフスキーリング(2016年10月号)<わたしの隣にすわっているのはマヤコフスキーだった――街から贈られた出会いと別れ。>


 廃業したはずの喫茶店が開いているので入ってみると誰もおらず、やはり営業していない。その窓際の席に座った時に、ガラスの向こうにマヤコフスキーを見かける。話しかけるが、それはガラスに映った彼女の顔であった。マヤコフスキーが入ってくるところを思い浮かべたら途端、生暖かい息を頬に感じる。彼が隣に座っていた。彼は、「ドアが開いて、あの人があらわれる」と言う。あの人とは、彼の親友でリーリャの夫でもあるオーシブという男だという。リーリャを挟んで三角関係にあった。

 この話は、すべて主人公の空想である。彼女の話す、”あの人”は最後までついに現れなかった。”あの人”とは、マヤコフスキーの事なのだろうか?それとも、全く違う男なのだろうか?そんな事はどうでも良い作品の様な気がするが、やはり知りたくなる。

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